阪神タイガース

中学2年の奏太にとって、父親と会うのは年にたった1回。場所はいつも、甲子園。チケット代も交通費も高いのに、関東に住む父は、毎年欠かさず会いに来てくれる。ただ、昔の父は笑わなかった。だからこそ、今の姿が、少しだけ不思議で――“親の事情”の向こ...

SaaS企業で働く32歳の太田可奈。通勤電車とSlackの赤マークに追われる毎日のなか、数年ぶりに夫と訪れた甲子園。阪神は木浪の同点打で追いつくも、9回に岩崎が失点し敗戦。でも、ファンタの味が一瞬わからなくなるほど夢中になれたあの一打が、可...

71歳の河合彰。孫の柚（ゆず）と訪れた甲子園で、誰かと拍手を交わせた一瞬が、遅れてやってきた春のようだった。肩越しの春　〜阪神タイガース観戦記2025年5月11日「今日の中日、松葉だってさ」 そう言って顔を上げたのは、孫の柚だった。 岐阜羽...

坂下裕太、小学６年生。お母さんと行ったゴールデンウィークの甲子園。試合には負けた。でも、帰り道のぼくの手には、もう“ただの道具”じゃないグローブが残っていた。グローブのひみつ〜阪神タイガース観戦記 2025年5月4日ゴールデンウィークのまん...

小学6年の悠馬が、祖父と初めて訪れた甲子園。憧れと悔しさが胸いっぱいに広がった、忘れられない一日の物語。パパは知らない　〜阪神タイガース観戦記2025年4月27日受験勉強でパンパンの毎日だったけど、今年もゴールデンウィークがやってきた。春と...

付き合って2ヶ月の彼と来た、はじめての甲子園。 大山の勝ち越し打と、小幡の横っ飛びに、気づけば声が出ていた。 「また来たい」じゃない。 次もこの人と、六甲おろしを歌うと決めた日のこと。二度目の六甲おろし　〜阪神タイガース観戦記2025年4月...

阪神タイガースの試合を、誰かと一緒に観に行くことになるなんて、思ってもいなかった。それも、あの若菜と一緒に。カーテンコールの外で　〜阪神タイガース観戦記2025年４月23日最初に声が出なかったのは、あの舞台だった。予定通りに感情を作ってきた...

誰かと声を交わしたくなる夜。近本の一撃が、静かに、確かに、僕の背中を押してくれた。明日は誰かと。～阪神タイガース観戦記 2025年4月17日新調したLサイズのユニフォームは、僕には窮屈だった。唐揚げとハイボールを手に神宮球場の三塁側S席に座...

6年前の悔しさを胸に、今日また、笑えた。才木の快投とともに、あの日言えなかった想いに、ようやくたどり着いた。あの日の言葉にならなかった想いを。～阪神タイガース観戦記 2025年4月15日松山の空は、思っていたよりも青かった。坊っちゃんスタジ...