【甲子園】大山の決勝タイムリーと小幡の美技で阪神快勝|2025年4月26日阪神vs巨人【阪神タイガース観戦記】

阪神タイガース観戦記
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試合概要・あらすじ

2025年4月26日、甲子園球場で行われた阪神タイガース対読売ジャイアンツの一戦。序盤から両チームが点の取り合いを演じ、2-2の接戦で迎えた8回表、満塁のピンチを小幡悠人のファインプレーで切り抜けた阪神が、その直後の攻撃で大山悠輔の勝ち越しタイムリーツーベースで勝負を決めた。菜月にとって人生初の甲子園観戦は、恋人との特別な思い出となった一日だった。

付き合って2ヶ月の彼と来た、はじめての甲子園。 大山の勝ち越し打と、小幡の横っ飛びに、気づけば声が出ていた。 「また来たい」じゃない。 次もこの人と、六甲おろしを歌うと決めた日のこと。

二度目の六甲おろし 〜阪神タイガース観戦記2025年4月26日

恋人との初甲子園〜梅田駅からの道のり

二度目の六甲おろし 〜阪神タイガース観戦記2025年4月26日

梅田駅のホームには、すでにタイガース一色の空気が漂っていた。 まだ11時過ぎだというのに、黄色いユニフォーム姿の人たちが次々と電車に吸い込まれていく。

山口から大阪に出てきて3年。大学生活にもようやく慣れ、アルバイトと勉強の両立もなんとかこなせるようになった田中菜月。しかし、普段はあまり人混みに近づかない性格で、特に週末の梅田駅のような雑踏は苦手だった。それでも今日ばかりは、胸の奥で小さな鼓動が響いている。野球観戦なんて生まれて初めて。テレビでも見たことがないスポーツを、果たして楽しめるのだろうか。

「……すごいな、なんか」

黄色のカツラ、金色の刺繍、虎のマークが入ったハッピ。 まるでお祭りみたいな人たちの列に飲み込まれそうになったとき、 「おーい、菜月!」と声がして、彼氏の大地が手を振りながら現れた。

付き合って2ヶ月。大学のゼミで一緒になったのがきっかけだった。最初は真面目で物静かな印象だったが、話してみると意外にユーモアがあり、何より彼の趣味の話をする時の表情が印象的だった。彼は大学の野球サークルに入っていて、阪神タイガースのことを毎日のように話す。 聞き流していたはずなのに、「チカ」とか「テル」とか「大山」とか、 知らず知らず名前だけは耳に残っていた。

「今日は石川やな、巨人の」 「……あ、新加入の投手って言ってた?」 「お、よう覚えてるやん!」

褒められてちょっと照れた。実は昨夜、密かにインターネットでタイガースの選手名を調べていたことは内緒だった。 そんなふうにして、人生初の甲子園は始まった。

序盤戦〜両チームの点の取り合い

甲子園に到着すると、球場の壮大さに圧倒された。テレビで見る何倍も大きく、観客席の黄色い海が広がっている。大地に手を引かれながら座席に向かう途中、菜月は改めて実感した。これが、彼がいつも熱く語っていた「聖地」なのだと。

1回表。 巨人の4番・岡本の犠牲フライで先制を許す。 大地が「くぅー、やられた……」と小声で唸る。菜月には詳しいことは分からないが、周りの阪神ファンたちのため息が聞こえて、なんとなく良くないことが起こったのは理解できた。

けれどその直後、阪神もすぐにやり返した。

1回裏。 近本が出塁し、打席には佐藤輝明。大地が「テルきたー!」と小声で興奮している。菜月も、彼がいつも「天才」と呼んでいる選手だということは覚えていた。

追い込まれた後のカウント2-2から、 思い切り引っ張った打球が右中間を割った。 スタジアムが揺れるような歓声。 「テルーー!!」 「え、すご。すぐ追いついた……!」

その瞬間、菜月は野球というスポーツの魅力を少し理解した気がした。たった一打で、これほど多くの人が一斉に喜びを爆発させる。この一体感は、確かに特別なものだった。

中盤戦〜甲子園の雰囲気に包まれて

その後1点ずつ取り合い、試合は終盤へ。 陽射しがまぶしく、紙の応援ボードが風に揺れている。 大地は隣で生ビールをゆっくり傾けていた。大してお酒は強くないはずなのに、大人ぶって飲んでる姿が可愛らしい。

菜月は、球場の雰囲気にすっかり馴染んでいた。最初は戸惑っていた大歓声も、今では一緒に手拍子をしている自分がいる。大地が教えてくれた応援歌も、なんとなく口ずさめるようになった。

「どう?野球って面白いやろ?」

大地が、少し誇らしげに聞いてくる。

「うん、思ってたより全然面白い。特に、みんなが一緒に応援してるのがすごいね」

「そうやろ?これが甲子園の魅力やねん」

彼の嬉しそうな表情を見ていると、菜月も自然と笑顔になった。付き合って2ヶ月、まだまだ知らない彼の一面がたくさんある。今日は、彼の大切にしているものを一緒に体験できて、なんだか特別な気持ちになった。

運命の8回〜小幡の美技と大山の決勝打

そして8回表。 ここまで2-2の接戦。 「ここで及川か。頑張ってほしいな」 大地の声が、少しだけ真剣になる。

1アウト満塁。 打席には巨人の新助っ人キャベッジ。

阪神は極端な前進守備。 「1点もやらん、ってシフトやな」

菜月は、言葉を飲み込んだままうなずいた。野球のルールは完全には理解していないが、今が重要な場面だということは、球場の緊張感で伝わってくる。

及川が投球モーションに入る。 外角いっぱいのストレート。 キャベッジが鋭く振り抜く。 「やば……」と思った。

でも、その瞬間。 ショートの小幡が横っ飛びで打球に食らいついた。チームを救うビッグプレー。

「うわっ……!」 (今の、漫画みたい……)

「見たか、菜月!これが小幡や!」 大地が、ビールを片手に唾を飛ばしながら叫んでいる。

嬉しくなって、声をあげて笑った。

8回裏。 スタジアムにはピンチを凌ぎ切った興奮の余韻が残っている。 そして今度は、阪神の攻撃。

1アウト1、2塁。 打席には大山。

「大山に回った……いける……!」 と大地がつぶやく。

菜月も、なぜか胸がドキドキしていた。大地がいつも「チャンスに強い」と言っている選手。果たして、その言葉通りになるのだろうか。

引っ張った打球は三塁ベースをかすめ、 レフト線へ強く転がっていく。

「やったああああああ!」

歓声が一気に爆発する。 菜月も思わず立ち上がり、 隣にいる大地と顔を見合わせた。

六甲おろしが響く。 歌詞は、彼が大学のゼミやキャンパスでよく口ずさんでいたから知っていた。

「はじめて歌った……」 「は?今?」 「うん。今、歌いたくなった」

大地が、少しだけ目を丸くして、すぐ笑った。

そのあとも阪神は追加点を重ね、 終わってみれば6-2の快勝。

球場の出口でも、大地はずっとニヤニヤしていた。 「いやー、たまらんかったなあ!小幡に大山やろ?最高すぎるなあ、これは晩ご飯が美味しいやろなあ。」

「ねぇ……あのさ」

菜月が立ち止まる。

「タイガースSHOP、寄ってもいい?」

「……お!ええやん!」

「次の試合までに、ユニフォーム買っておきたい」

彼の目が、もっと輝いた気がした。

「二度目の六甲おろし」も……この人と歌おう。

本日の試合結果

【今日のスコア】 阪神 6 − 2 巨人(2025年4月26日|甲子園)

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