甲子園に着いたとき、風が生ぬるくて、まるで人肌に触れたみたいだった。
心斎橋のデパートで、いつものように「お似合いですよ」と笑ってる私は、ここにはいない。
今夜の私は、3年付き合った彼にふられて、やけ酒気分でビールを握っているだけの、阪神ファンのひとり。高橋 里奈。
「阪神の話しかないの?」
仕事終わりに飲みに行ったとき、あいつが急に言い出した。
その一言で、なんか全部しぼんでもうて、「あ、終わったな」って思った。
で、今日。甲子園。
同じく阪神ファンの同僚のかすみと来たけど、試合始まる前まで、正直テンションはあんまり上がらんかった。
でもな。
2回裏。
ノーアウト満塁から、大山のタイムリーで先制。甲子園がぐわーって湧いた瞬間、隣のかすみとハイタッチ。
そのあとも止まらん勢いで3点。
あんなに心の中に霧がかかってたのに、その先制攻撃で全部晴れた気がするわ。
ビーズリー、今日ほんま良かった。
あの力強さ。外国人助っ人って、なんであんな背中で語れるんやろな。メッセンジャーを思い出す。
で、6回。
無死一二塁になって、マウンドに育成ドラフトから開幕前に一軍に滑り込んだ工藤くんが出てきた。
今日も、って願ったけど、ワイルドピッチとフォアボールがかさみ、1点差。
スタンドがざわめく中、私はただ口元をぎゅっと結んでた。
続くピッチャー及川くんが出てきて、工藤くんはマウンドを降りた。
その背中を見たとき、涙が出そうになった。
失恋のときは、泣けんかったのに。
ここでは、泣けた。
なんでやろな。
自分の想いとリンクしたんかもしれんし、あんなにがんばってる姿に、勝手に重ねさせてもろたんかもしれん。
「なあ、阪神の話ばっかで、つまらんって言われたわ」って、ぽろっと言ったら、
かすみは「ほな、その男がつまらんわ」って、何杯目かわからないハイボール片手に笑ってくれた。
試合はそのまま逆転されて、5−3で負けてしもた。
それでも、不思議と悔しさよりも、気持ちの整理がついた感じがしてん。
阪神の話ばっかして、何が悪いねん。
好きって、こんなにまっすぐなことなんやでって、あいつに伝えたかったんやと思う。
電車の中でかすみが寝落ちして、私はイヤホンで緑黄色社会を聴きながら、
「明日からまた頑張ろか」って思えた。
たとえ彼氏には振られても。
たとえ連敗しても。
私は、阪神の話をする。ずっと。
【今日のスコア】
2025年4月9日(水)@甲子園球場
阪神 3 − 5 ヤクルト
📘この記事は「TIGERS STORY BLOG」の投稿です。
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