阪神タイガース観戦記 2025年4月12日|21歳の僕が見た、阪神の若手と“重なる瞬間”──【阪神】9回裏 代走植田の神走塁

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走る、という選択。

〜阪神タイガース観戦記 2025.4.12

「打たないと負ける。でも、走らなきゃ、同点にもならない。」

あれはただの盗塁なんかじゃなかった。 甲子園で起きた、たった一歩が、今日の僕の気持ちを変えた。

2025年4月12日。 朝からシャンプー剤にまみれていた僕は、サロンのバックルームでロッカーを開けた瞬間、ユニフォームを見つめて5秒悩んだあと──無言でそれをかぶった。

有休。天気よし。しかも甲子園。 決め手は、同級生のユウトのLINE。「今日、行く?」の5文字。 5分後には「行く」と返信してた。

甲子園は、母と何度も来た場所だった。 お弁当を作ってくれてたのに、売店の唐揚げをねだったら、「そっち食べるなら次はもう作らんで!」って拗ねてた、あの母。 今は愛知で暮らしてるけど、「推しが引退しても阪神は応援するから」って、たまにLINEが飛んでくる。

2回表。ピンチの場面。レフトへのライナー性の打球。 前川選手が飛びついた。 グラブを思いきり伸ばして、芝の上に体ごと滑り込んで──捕った。 スタンドの空気が、一気にひとつになった。

「うわ…マジか…」 隣でユウトがつぶやいた。 僕も息を呑んでた。同じ21歳の彼が、グラウンドのど真ん中であんなプレーをしている。 それだけで、心がざわつく。 なんでだろうな。悔しいとか、すごいとか、そういう感情じゃなくて──焦る、みたいな。

今の僕は、美容師の“アシスタント”。 カラー剤を混ぜて、先輩の動きを見て、タオルを畳む日々。 焦るな、って言われても、正直あせる。 カットしたくて、美容師になったのに、今の自分は誰かの影に隠れてる気がしてならない。

この前なんて、先輩がちょっといなくなった瞬間、急にお客さんから「巻いてもらっていいですか?」って頼まれて、手が震えた。 何年もやってきたのに、いざ“やっていいよ”って言われると、怖くなる自分がいる。 だから、飛び出すことができる人を見ると、ちょっと眩しく見える。

「飛び出すのって、怖くないんかな」 ふと、そう思った。

9回裏。2アウト1塁。1点差。 打席には小幡。そして、代走・植田。

甲子園がざわついた。 「ここ、走るか?」 「いや、アウトなったら終わりやしな……」 「けど、1ヒットで同点狙うなら、やっぱ2塁に行って欲しいやろ……」

次の球。植田が、走った。 キャッチャーが投げる。 タイミングは際どい。 中日がリクエストを要求した。

リプレイ映像が流れる間、スタンド中が息を止めていた。 ……セーフ。甲子園が爆発した。

「すげえ……」 僕も、ユウトも、立ち上がって拍手してた。

何がすごいって、その場面でスタートを切った植田選手の決断だ。 ベンチのサインがあったのかもしれない。けど、最後に足を動かすのは、自分自身。

あの盗塁は、たぶん“1点をとるため”だけじゃなくて、“自分を信じるため”でもあったんやと思う。

ユウトがぽつりと、「俺も最近、職場で思うねん。決められたことだけやってたら、誰にも見てもらわれへんって」 僕は、うん、とだけ返した。

たしかに、自分で動いた人間だけが、その日の空気を変えられる。 さっきの植田選手みたいに。 僕らも、それができるやろか。

試合は2−3で負けた。 それでも、心の奥で何かがチクリと反応した。 それが、自分でもちょっと不思議やった。

帰り道、ユウトと並んで甲子園駅に向かいながら、 「明日の予約表、やばかったよな」 「俺、朝イチでカラー3人連続やで」 なんて言いながらも、 僕の頭の片隅には、盗塁のリプレイが、何度も流れていた。

たった一歩で、空気が変わったあの瞬間。 あれを見た僕は、もう“前と同じ自分”には戻れない気がした。

【今日のスコア】 2025年4月12日(土)@甲子園球場 阪神 2 − 3 中日

📘この記事は「TIGERS STORY BLOG」の投稿です。

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