観戦記

2025年6月6日、甲子園で行われた阪神vsオリックスの交流戦は、両軍無得点のまま延長十回へ突入。最後は木浪聖也のサヨナラ打で阪神が1-0で勝利を収めた。石井大智の負傷退場というアクシデントも乗り越え、村上・湯浅・桐敷の継投で守りきった劇的...

美容師として神戸で働く38歳の高垣修司。 広島在住の旧友・安藤に誘われ、マツダスタジアムへ。 真っ赤に染まるスタンドの中で、出せなかった“黄色”。 その意味を、自分の中で問い直す旅になった。染まらなかった黄色　〜阪神タイガース観戦記 202...

岡山市在住の31歳・宇田川葵は、地元ケーブル局の番組構成を担当しながら、父と二人で暮らしている。番組素材のチェック、家事、そして夕方の観戦。そんな彼女が、年に一度の倉敷マスカットスタジアムで目にしたものは──延長11回、森下の押し出し四球に...

中学2年の奏太にとって、父親と会うのは年にたった1回。場所はいつも、甲子園。チケット代も交通費も高いのに、関東に住む父は、毎年欠かさず会いに来てくれる。ただ、昔の父は笑わなかった。だからこそ、今の姿が、少しだけ不思議で――“親の事情”の向こ...

71歳の河合彰。孫の柚（ゆず）と訪れた甲子園で、誰かと拍手を交わせた一瞬が、遅れてやってきた春のようだった。肩越しの春　〜阪神タイガース観戦記2025年5月11日「今日の中日、松葉だってさ」 そう言って顔を上げたのは、孫の柚だった。 岐阜羽...

坂下裕太、小学６年生。お母さんと行ったゴールデンウィークの甲子園。試合には負けた。でも、帰り道のぼくの手には、もう“ただの道具”じゃないグローブが残っていた。グローブのひみつ〜阪神タイガース観戦記 2025年5月4日ゴールデンウィークのまん...

付き合って2ヶ月の彼と来た、はじめての甲子園。 大山の勝ち越し打と、小幡の横っ飛びに、気づけば声が出ていた。 「また来たい」じゃない。 次もこの人と、六甲おろしを歌うと決めた日のこと。二度目の六甲おろし　〜阪神タイガース観戦記2025年4月...

阪神タイガースの試合を、誰かと一緒に観に行くことになるなんて、思ってもいなかった。それも、あの若菜と一緒に。カーテンコールの外で　〜阪神タイガース観戦記2025年４月23日最初に声が出なかったのは、あの舞台だった。予定通りに感情を作ってきた...

火曜日の夜に、花火が上がった。冷たい風のなか、奪われずに持ち帰れた小さな光。花火のある夜に。〜阪神タイガース観戦記2025年４月22日火曜日に早退するのは、これが初めてだった。熱も咳もない。けれど、会社に残る理由も、今日は見つからなかった。...