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うちらの春。〜阪神タイガース観戦記 2025.4.2

「えっ、木浪スタメン!?ちょ待って、今日もう勝ちやん!」試合前からハイボルテージだった。私、川村結衣。今期初観戦。推しの木浪聖也が“7番ショート”で名前呼ばれた瞬間、席で立ち上がってガッツポーズ決めてもうた。となりのアヤカ(近本ガチ勢)は「...
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50歳の春休み、ピッチャーズマウンドの向こうで〜阪神タイガース観戦記 2025.4.1

朝、窓を開けると、少し冷たい風が入ってきた。大阪の春は、こんなふうに曖昧で、あと少しで暖かくなるような、そんな予感をまとっている。桜は咲きかけていて、駅までの道にちらほらと薄紅色が混じっていた。京セラドームへ向かうのは、久しぶりだった。豊中...
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グローブはもうないけれど 〜阪神タイガース観戦記 2025.3.30

退職届を出した日の夜、部屋の棚を整理していた。リストラが名前をかえただけの早期希望退職。42歳になった井坂誠一はふと、あのとき手放したグラブのことを思い出した。高校野球をやっていた頃、毎日泥だらけになって使っていた相棒。手元にはもうないけれ...
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私の帰る町 〜阪神タイガース観戦記 2025.3.29

親友の優子が「チケット、取れたで!」とLINEをくれたのは、ほんの数日前のことだった。広島駅から少し歩いて、昼の光に包まれたマツダスタジアムへ向かう。スタンドに腰をおろしたとき、心が少しざわついていた。大学進学を機にこの街に来て、もう9年。...
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ライトスタンドへの号砲、心に火が灯った夜

朝、洗濯機の中でシャツがぐるぐる回るのを眺めながら、春代はぼんやりしていた。ベランダの外、雲ひとつない空があまりにも澄んでいて、それがかえって、気持ちをどこにも置けなくさせていた。「たまには、一人になってもええやん」そう呟いて、自分の声に少...