【横浜スタジアム】育成ルーキー早川がプロ初先発初勝利 梅野3安打の活躍で 阪神2-1DeNA(2025年8月27日)

対DeNAベイスターズ

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毎回異なる人物の視点から、勝敗にとらわれず心の揺れや日常の断面を言葉にしています。 “試合を知らなくても読める”、そんなブログです。

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試合概要・あらすじ

横浜スタジアムで行われた「横濱漢祭2025」3連戦の2戦目。阪神の育成出身のルーキー早川大貴が初先発で5回無失点の好投を見せ、プロ初勝利を挙げた。4回に大山と熊谷のタイムリーで2点を先制し、継投陣が1点を守り切った。

保育園で働く古谷泉(27)と同僚の木戸広子(28)が、早川の初先発を見届けに横浜スタジアムへ。同じ試合を観戦するふたりだが、泉は途中から梅野に、広子は最後まで早川に注目し続ける。それぞれ違う「視線」で野球を楽しむ物語。

視線〜阪神タイガース観戦記2025年8月27日〜

午睡が終わって

午睡の時間が終わり、子どもたちを起こして回る。みんなまだ寝ぼけ眼で、髪がぺちゃんこになったり、ほっぺたに畳の跡がついたりしている。

「せんせい、なんで昼寝するの?」

樹音くんの質問に、私は首をかしげる癖が出そうになった。

「体を休めるためだよ」
「なんで体を休めるの?」
「元気でいるためだよ」
「なんで元気でいるの?」

このエンドレス「なんで?」攻撃は3歳児クラスの日常茶飯事だ。でも今日はちょっと急いでる。

「樹音くん、今度ゆっくり教えるね」

給食の片付けを済ませ、連絡帳に一日の様子を書き込む。保護者への報告は丁寧に、でも簡潔に。そんなことをしながら、頭の片隅では今日の試合のことを考えていた。

「泉ちゃん、準備できた?」

隣のクラスから広子の声がした。1歳児クラスの彼女は、いつも私より先に帰る準備を終えている。大雑把な性格が、こういう時は羨ましい。

「もうちょっと待って」

最後の連絡帳にペンを走らせながら、私は急いでいた。今日は早川くんの初先発。育成出身のルーキーが、横浜の大エース東と投げ合う。見逃すわけにはいかない。

横浜への道すがら

「お疲れ様でした」

園長先生に挨拶をして、私たちは園を出た。夕方の風が心地よい。電車の中で、広子が黄色いタオルを取り出した。

「今日の先発、東かあ。何気に今シーズン初対戦なんだよね」

「本当そうだよね。昨日対戦したケイなんて阪神専用かってくらい対戦してるのに」

私は昨日の試合を思い出していた。9回、大山の逆転ホームラン。テレビの前で声が出なくなるほど興奮した。

「まあ、決まって同じ曜日に同じ対戦カード組まれたら同じ顔合わせも多くなるよなあ。それでもケイにまた勝ったのは強みだね」

「うん。大山、しびれた」

広子の表現は、いつも素直だ。私みたいにあれこれ考えすぎない。

横浜駅で乗り換える時、広子が「お腹空かない?」と聞いてきた。

「シウマイ弁当食べる?」
「球場で食べよう。ビールと一緒に」
「あー、いいねえ。生ビールの泡がプシューって」

広子は手を叩きながら言った。テンションが上がると手を叩く癖がある。1歳児クラスの子どもたちと歌う時も、きっと同じようにしているんだろう。

横浜スタジアムのゲート前は、すでに人であふれていた。青い旗が夕風に揺れ、ビジター席を目指す黄色と黒の波が流れている。シウマイの湯気と生ビールの香りが混ざって、球場らしい匂いが鼻をくすぐる。

「早川くん、どうなるかなあ。言っても初先発なわけじゃん?」広子が心配そうに言う。

「んー。欲張りすぎるとダメだから6回3失点なら十分なんじゃない?」

私は現実的に考えていた。相手は大エース東。無理は禁物だ。

「早川くんをここで登板させられるってのが、阪神の良さよね?」
「そう。ゆとりのローテ。まあ相手は東だし、長い目で見ようよ。欲張らずにさ」

ルーキーとベテランが織りなす物語

「横濱漢祭2025」と銘打たれたベイスターズ主催のこの3連戦。

試合後も応援総長を角田信朗さん率いる応援団のパフォーマンスが予定されている。昨日阪神は勝利を収めた。配信を見ていてもやっぱり試合後のパフォーマンスは勝ってこそ盛り上がる。とはいえライバルチーム同士。ベイスターズの事情はひとまず置いといて、やはり私たちは今日も勝たなければ。

17時過ぎ、スタメンが発表される。

「梅野スタメンだ。久々じゃない?」広子が嬉しそうに言った。

「うん。早川くんが先発だからキャッチャー、昨日から気になってた。いいよね、早川ー梅ちゃんのバッテリー」

私はスマホを操作しながら答えた。配球が楽しみだ。梅野の経験と早川の若い力が、どんな化学反応を起こすだろう。

「配球ってそんなにわかる?」
「……まあ、なんとなく」
「なんとなくかよ!」

広子のツッコミに、私は笑うしかなかった。この掛け合いは、いつものパターンだ。

試合が始まると、1回表の阪神打線は東のテンポに飲まれ、森下のヒットは出たもののあっという間に攻撃が終わる。私が時計を見て「3分で終わったな」とつぶやくと、広子は「給食の片付けより速い」と笑った。隣の阪神ファンの女の子までつられて笑う。

そしていよいよ早川くんがマウンドへ。

先頭打者蛯名がファールで粘る。

「嫌だなあ、粘られると」
「心臓に悪いよ、まったく」

ぶつぶつ言いながら見守る私たちの前で、捉えられた当たりはセカンドライナー。一つ目のアウトを取る。

「あーよかった。てかここから桑原、筒香、オースティン、佐野ってDeNAの打線、嫌すぎる」

そんな不安をよそに、早川はその桑原・筒香も連続アウトに打ち取り、立ち上がりを無失点ピッチング。

「やるー。早川くん。このまま行けー」

広子の声が弾んでいる。私も安堵のため息をついた。

2回、3回と試合は進む。3回裏、四球が2つかさみ、初めてランナーを背負ってのピッチングとなったが、早川はこの回も無失点に切り抜ける。

「ちょっと泉。早川くん、普通に相手エースと投げ合ってるじゃん」

広子が嬉しそうにはしゃぐ。そんな広子の笑顔が眩しい。けど慌てて釘を刺す。

「ダメ。まだ油断しちゃ」

なんか嫌な予感がしたのだ。保育園でも、子どもたちがいい子にしている時ほど、何かが起こる。

4回表、この回先頭の森下がまたヒットで出塁。4番テルにスタンドの期待感は膨らむが、ショートライナー。少し萎みかけた空気を、5番大山の一振りが切り裂いた。

左中間への大きな当たり。私たちは「わー」とか「きゃー」という声を発しながら、視線だけはグラウンドから逸らさない。1塁ランナーの森下はホームへ突入し1点をもぎ取る。クロスプレーの間に大山も三塁へ到達。その一連の流れがようやく止まった時、肩の力がすっと抜けた。

続く熊谷くんが、連日起用された試合では必ず活躍する選手らしくタイムリーを放ち、さらにもう1点入った。

「やったよ泉。援護点入ったじゃん」
「2点じゃわからない。あの人たち(DeNA打線)は打つから!」

なんかそう言っておかないと嫌なことが起こる気がして、浮かれる広子を嗜めた。園でも、調子に乗った子どもほど転ぶ。

5回裏、いよいよこの回を抑えれば早川くんに勝ち投手の権利が生まれる。少し欲望めいたものが心の中でざわつき始めた直後、石上に左中間を破られる。

この試合初めての長打だ。スタンドが緊張する中、早川くんは淡々と続く二人を打ち取り無失点を継続した。

「きちゃったよ。5回まで」

思わず広子の方を見て口に出した。

「しかも無失点だよ。てかほとんど打たれてないじゃん」

広子も満足げにうなずく。

早川くんは初めての経験で緊張してたろう。ナインや梅ちゃんがそれをサポートしてる構図が見えた気がする。保育士の癖かもしれない。

及第点どころか100点満点の初先発マウンドだ。ここまできたらこのルーキーに勝ち星をつけてあげたい。基本的に流されやすい私は、この時完全に欲望のスイッチが入った。

6回裏、早川くんに代わり2番手の岡留がマウンドに上がるが、筒香にホームランを打たれる。レフトスタンドは落胆の色を隠せない。

昨日の試合から合計3発。筒香はまだまだ元気いっぱいという感じだ。さあ1点差。ヒヤヒヤするロースコアゲーム。いつもの展開だ。

「ほら見て。だから2点じゃ足りないって言ったじゃん」
「泉の悪い予感、当たっちゃったね」

広子は苦笑いを浮かべた。でも表情に不安は見えない。彼女は楽観的だ。

試合は継投で進み、ドリス、及川が1点を守る。9回表、阪神の最後の攻撃はツーアウトになり、打席には梅野。

粘った7球目はサードゴロ。かと思いきや、ギリギリのタイミングで内野安打になった。
DeNAからリプレー検証が入る。
スローで映し出される筒香の送球と1塁ベースを駆け抜ける梅野。判定は変わらずセーフで、レフトスタンドから大きな声援が梅野に注がれた。

その映像を見て、ふと広子に話しかける。

「今日梅ちゃん、すごくない?」

早川くんの初勝利に浮き足立つ広子は、怪訝な顔を見せた。

「え、早川くんの話じゃなく?」
「いや、だから梅ちゃん。何気にヒット3本だよ今日。今のなんて全力で走ってなかったらアウトだし」

そう言いながら、胸の奥がきゅっとした。スタメン機会が減った今シーズン。それでも回ってきたチャンスで懸命にプレーする。我らがタイガースの背番号2は、やっぱりダテじゃない。

子どもたちにいつも言っている。「最後まで諦めちゃダメよ」って。

梅野は、まさにそれを体現している。

それぞれの視線

9回裏、マウンドには岩崎。たまにヒヤヒヤしながら見るが、今日はDeNAのクリーンナップ相手に真っ向勝負でねじ伏せた。

最後の打者を打ち取った瞬間、マウンドに駆け寄った梅野と岩崎が抱擁を交わす。

二人はもう若手ではない。いつの間にか、ベテランと呼ばれる立場になった。

でもその抱擁は、過去を懐かしむものではなかった。今もプロ野球選手として、今日という物語を刻んだ証だった。

阪神2−1DeNA。

私の視線は、その瞬間に釘付けになった。
隣で広子は「早川くん、すごかったー!」と手を叩いている。同じ試合を見ているのに、私たちの目は全く違うものを追いかけていた。

育成出身のルーキーの初先発初勝利。グラウンドでは早川くんが、照れながらもしっかりとヒーローインタビューに答えていた。広子は子どものように両手を叩いて

「ほら、やっぱりルーキー早川最高!」と叫んでいた。
その横顔を見ながら、私はまだベンチの梅ちゃんを追っていた。

私の心には、そのルーキーを支えたベテランたちの姿が焼き付いていた。特に梅野の、あの抱擁の瞬間が。

球場を出る時、広子が言った。

「同じ試合観てたのに、違うこと考えてたね、私たち」

私は笑った。

「視線が違ったんだよ、きっと」
「視線?」
「うん。あなたは早川くんを見てて、私は途中から、梅ちゃんを見てた」

広子も笑顔になった。

「面白いよね、それって」
「うん、面白い」

それって、なんだか保育園みたいだな、と思った。

同じ絵本を読んでも、子どもたちの視線はそれぞれ違う。
樹音くんは恐竜に夢中になり、美月ちゃんはお花に注目する。

同じページを見ているのに、心に残るものが全然違う。

「明日、園の子どもたちに話してあげよう。

『昨日ね、早川くんっていうピッチャーががんばったんだよ』って」
「私も話す。『梅ちゃんっていう人が、最後まで走ったんだよ』って」

電車の中で、広子が突然言った。

「あ、そうそう。明日の給食、カレーだった」
「え、急に何?」
「いや、なんか今日楽しくて、明日も楽しみになっちゃって」

私も笑った。いつものことだ。広子はこうやって、すぐに次のことを考える。

「樹音くんがまた『なんで?』攻撃してくるかな」
「きっとするよ。『なんでタイガースは勝ったの?』って」

窓の外を見ると、同じ電車に揺られている人たちも、それぞれ違うものを胸に抱えているように思えた。


交わらない視線が、静かにこの夜を分け合っていた。

本日の試合結果

スコアボード

チーム123456789
阪神000200000290
DeNA000001000132

責任投手

  • 勝利投手:[ 阪神 ] 早川 (1勝0敗0S)
  • 敗戦投手:[ DeNA ] 東 (12勝7敗0S)
  • セーブ:[ 阪神 ] 岩崎 (1勝2敗27S)

📌 観戦メモ(持ち込みルール&持ち物)
・球場ごとに飲料容器や容量の規定が異なります。来場前に最新の公式案内をご確認ください。
・傘が使えない席が多いため、雨天時はレインポンチョ推奨。
・暑さ/寒さ対策と両手が空く軽装が快適さの近道です。

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