【甲子園】森下のレーザービームで阪神が劇的勝利 佐藤が決勝2ラン (ウル虎の夏 阪神2-1ヤクルト)

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TIGERS STORY BLOGは、阪神タイガースの試合を“物語”として描く観戦記ブログです。

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勝敗にとらわれず心の揺れや日常の断面を言葉にしています。
“試合を知らなくても読める”、そんなブログです。

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試合概要・あらすじ

2025年7月13日「ウル虎の夏2025」イベント開催の甲子園球場。阪神タイガースはヤクルトスワローズとの3連戦最終戦を迎えた。先発は阪神が伊藤将司、ヤクルトがアビラ。序盤は両チーム無得点で推移するも、6回裏に佐藤輝明の2ランホームランで阪神が先制。9回表には岩崎がマウンドに上がるが、山田のタイムリーで1点差に迫られる危険な展開に。それでも最後は劇的なクロスプレーで勝利を掴み、阪神が2-1で勝利した。

この試合を観戦したのは、編集プロダクション勤務の玲と、外資系ホテルフロント勤務のしおり。玲は半年前の破談を周囲に隠し続け、SNSでは「忙しい人」を演じている。しおりだけが玲の本当の事情を知る唯一の友人。甲子園の特別な夜、限定応援歌「虎道」と六甲おろしを歌いながら、玲は自分の中の「嘘」と向き合うことになる。

嘘つきの応援歌~阪神タイガース観戦記2025年7月13日~

喫茶店で映る嘘つきの顔

神戸・元町の古い喫茶店で、玲は冷コーのグラスを両手で包んでいた。午後の西日が窓ガラスに映る自分の顔を照らしている。取材を終えた後のこの時間が、一日で一番ほっとする。誰とも話さんでええから。

手帳をめくる。今週のスケジュール欄はスカスカやった。「お忙しい中ありがとうございました」と言われるたび、胸の奥がチクリとする。忙しいって何やろ。朝起きて、電車乗って、人の話聞いて、記事にして、家に帰る。それだけやのに。

窓ガラスに映った自分が、嘘つきの顔に見えた。

半年前から押し入れの奥に眠ってる結婚式の招待状の束。


あの結婚式をやめた夜の後も、泣きながらしおりに全部話した後も、
周りには「まだ忙しくて」としか言えてない。


延期やない。中止や。それすら言えんまま、SNSには「#今日も走り回ってます」なんて投稿してる。

玲は席を立った。甲子園だけは、誰も自分のこと問い詰めてこん場所やから。

ウル虎の夏、黄色いスタンド

甲子園駅前の改札を出ると、しおりが缶ビール2本を抱えて立っていた。黒いボブがサラサラと肩で揺れる。制服から着替えたTシャツとデニムが、いつものきっちりしたしおりとは違って見えた。

「玲、今日は1塁側アルプス上段やからな。早よ褒めてや」

しおりの得意げな顔を見てると、なんか安心する。この人だけが、あの日玲の本当の話を聞いてくれた。変に取り繕わんでもええような気がして。

「はいはい、ありがとうございます」

「なんやその棒読み。もうちょっと感情込めろや」

アルプス席へ向かう階段を上がりながら、しおりが日焼け止めを玲の腕に塗ってくれる。

「あんたまた焼けてへん?屋根あるのに」

「んー、外ばっかやしな」

髪の毛先を指でくるくる巻く癖が出る。編プロの外回りなんて、せいぜい週に2回程度やのに。

「また嘘ついとる」

しおりの声が、いつもより優しかった。玲の嘘を見抜いてズケズケ言えるのは、この人だけや。

「何がやねん…」

玲は小さく笑ったけど、胸の奥がズキンとした。

1塁側アルプス上段から見る甲子園は、黄色い限定ユニフォームで埋め尽くされていた。
縦縞もええけど、このイエローは圧巻や。「ウル虎の夏」のイベント期間だけの特別なユニフォーム。
見てるだけで気持ちが前向きになる。

「それにしても伊藤が帰ってきてくれてよかったよなあ」

後ろのオジサンの声が聞こえる。

「うん。でもヤクルトってどんどん野手が育つから油断できへんで」

隣のオバサンが答える。この距離感がええなあ。知らん人同士でも、阪神の話やったら自然に会話できる。

しおりがビールを飲みながら、
「晋太郎、ほんまに戻ってくるんかいな」と玲を覗き込む。

「知らんで。支配下もう埋まるっちゅう噂やし、ドリスも言われてるし」

「戻ってきて欲しいやん」
玲は「せやな」とだけ答えた。


太鼓の音と、どこからか聞こえる声援が
少しずつスタンドを温めていく。

試合開始前、スタンドに特別な応援歌が響いた。
「虎道」。このウル虎の夏の応援歌や。

「鼓動打ち鳴らせ 歓喜に向けて」

玲も手拍子を打ちながら歌う。知らん人の手拍子と自分の手拍子が重なって、一つのリズムになる。

「虎道共に進もう 阪神タイガース」

打ち鳴らせって、こんな風に声を出してもええんやな。嘘つきの自分でも、この瞬間だけは誰かと一緒に歌えてる。

佐藤輝明の一撃と声を混ぜる瞬間

試合が始まる。伊藤の投球を見てると、やっぱり先発投手が長くマウンドにいてくれるのは心強い。3回裏、先頭の坂本がヒットで出塁するも、島田の送りバント失敗。

「アビラって、大きな体で剛球投げそうやのに、めっちゃ変化球使うタイプやん」

しおりが的確に分析する。ホテルのフロントで外国人客の対応してるだけあって、観察力が鋭い。

4回裏、1死満塁から大山がゲッツー。期待してた分、肩に込めた力のやり場を失った。

「なんか嫌な雰囲気やん。ヤクルトって謎に怖いし」

しおりの言葉に頷く。阪神ファンから見て、ヤクルトは妙に怖い存在やった。まだ塩見もサンタナも長岡もおるし。

5回終了時、またスタンドに「虎道」が響いた。
玲は今度は迷わず手拍子を打った。

誰に言えない嘘を、誰となら歌えるんやろ。
その問いが胸の奥で跳ねた。
今、この瞬間だけは、嘘つきの自分でも声を混ぜて赦されてる気がした。

5回裏も2死満塁で中野がセカンドゴロ。またも得点できず。

「そろそろ点が欲しいなあ」

ピザとビールで日曜の夜を満喫しながら迎えた6回裏。先頭の森下がヒットで出塁。そして4番佐藤が振り抜いた大飛球が、広い甲子園のライトスタンドポール際へ吸い込まれた。

ライトスタンドどころか、球場中のあらゆる黄色が跳ね上がるように爆発した。

玲も声が枯れるまで叫んだ。隣のしおりと肩を組んで六甲おろしを歌う。小さい頃から何度も耳にしたこの歌が、今日は特別に響いた。知らん人の声と、しおりの声と、自分の声が全部混ざって、一つの大きな歌になってる。

「ええ感じやん!」

しおりがタオルを玲の背中に当てる。汗が額を伝って、ビールの泡と混ざった。

最終回の劇的クロスプレー

9回表。伊藤から石井、そして最後のマウンドに岩崎が上がる。ショート小幡のエラーもあり、1死1・2塁のピンチ。

「ちょっとしおり、私、この場面何回も見た気がする」

「あんた、それ昨日の話やん。てか、昨日より嫌な予感する」

しおりの予言通り、山田がセンターへ2ベースを放って1点差。まだ1死2・3塁。甲子園中がざわつく。

そして増田への5球目。ライトへのフライが上がった瞬間、悲鳴が交差した。同点や、と心の中で覚悟したその時、ライトの森下がキャッチして弾丸のような送球。坂本とのクロスプレー。

「アウト!」

眼前で起こったドラマチックな結末に、心が追いつかへん。甲子園の歓声が止まらない。リクエスト判定も変わらず、スタンドは再び六甲おろしに包まれた。

「ラッキーやなうちら」

しおりが笑う。

「何がよ」

「だって、リクエストのおかげで2回も喜べたやん」

しおりらしいポジティブな考え方やった。でも、その言葉が玲の胸に妙に響いた。2回も喜べた。2回とも、声を限りに歌えた。

改札前で、しおりが振り返る。

「連勝やで、玲。ええ月曜迎えられるな」

「せやな、しおりのおかげや」

「嘘つくなや」

しおりは笑って玲の隣を歩き、二人で改札を抜けた。

西宮のマンションに帰って、玲は靴を脱いだ。いつもより足音も軽い気がする。
押し入れを開けて、奥の段ボールを引き出す。半年間、触ることもできなかった招待状の束。

少し色のくすんだ招待状を一枚ずつ破っていく。
破いた紙片をゴミ袋に放り込んだ。

スタンドで混ぜた声だけは、置いてかへん。


打ち鳴らせたやん、私も。

玲は髪を大きくかきあげた。

手拍子の熱が、まだ指先に少し残っていた。

本日の試合結果

阪神 2-1 ヤクルト(甲子園)

勝利投手: 伊藤将司(4勝0敗0S)
敗戦投手: アビラ(2勝6敗0S)
セーブ: 岩崎優(0勝2敗21S)

本塁打: 佐藤輝明24号(6回裏2ランホームラン)

バッテリー:
ヤクルト:アビラ、矢崎、大西 – 松本直
阪神:伊藤将司、石井、岩崎 – 坂本


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