【阪神 5−1 ヤクルト】才木が今季初勝利!松山でリベンジ果たす阪神タイガース観戦記 2025.4.15

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あの日の言葉にならなかった想いを。

松山の空は、思っていたよりも青かった。
坊っちゃんスタジアムの外野に伸びるスコアボードを遠くに見ながら、俺は歩いていた。
65歳、久保田信一。定年はとっくに過ぎたけれど、警備員のバイトでまだ体を動かしてる。

今の時代、60で引退して老後は安泰なんて考えられない。
若い子には「元気ですね」なんて言われるけど、正直、体はそこまで元気じゃない。
けど今日は、心が元気やねん。大好きなタイガースが観れるから。

6年前、ここに来た。2019年。春の陽気に誘われて、あの人とふたりで遠征してきた。
岸和田生まれのあの人は、生粋の阪神ファンで、負け試合でも機嫌ようしてた。
あの日は村上に満塁ホームランを打たれて、「矢野監督の初年度やったのになあ」、って。
悔しさも残る試合やった。隣でうちわをぱたぱたさせてた妻の姿が、やたらと印象に残ってる。

スタンドに腰かけて、ふとスマホの写真フォルダを開いた。
2019年4月のファイル。あの人と一緒に坊っちゃんスタジアムで撮った写真が、まだ残っていた。
ピントの合ってない芝生、紙コップのビール、少しだけ照れたあの人の顔。
「ここの球場、好きやねん」って、あの人が笑って言ったことを思い出した。

もう、隣にはおらんけどな。
コロナの収束が見えてきた頃、あの人は病気で静かに旅立った。
最期まで、野球の話ばっかりしてた。
俺もすっかり虎党になってもうて、今もこうしてひとりで球場に来ている。


初回、近本がいきなり二塁打。中野が進めて、森下がタイムリー。
スコアボードに「1」の数字が入る。その瞬間、6年前を少し思い出す。
あの時も初回に点を取って、「今日は行ける!」って、あの人が笑った。
そしたら村上にやられてね。プロ2年目やった村上が一気に開花した年やった。

でも今日は……今日はちゃう。

才木のピッチングは見事やった。力強くて、迷いがない。
俺みたいに“もうちょっとやったかも”なんて言わへん。
7回まで0で抑えて、今季初勝利。
6回の攻撃も見事やった。森下、佐藤、大山、前川、そして梅野。怒涛のタイムリー。
ベンチ前でハイタッチを交わす選手たちの姿に、ふっと目が潤んだ。

妻が好きやった梅野が、タイムリー打ったときや。
「あの子、顔は地味やけどええキャッチャーやねん」とか言うてな。
思わず涙声が出た。「梅野、ようやったなあ!」って。
周りの客がちらりとこちらを見たけど、そんなもんどうでもよかった。

9回、ピンチを招いたけど、いつも表情を変えない不動の守護神・岩崎が締めた。
この球場で6年前に食らった悔しさ。その借りは、確かに今日、返した。

帰り道、球場の外の風は冷たかったけど、少しやさしかった。
胸ポケットには、妻の写真がいつも入ってる。
「今日は、ええ試合やったな」
そう言いかけて、すっかり暗くなった空を見上げた。
声に出すまでもなく、答えは返ってきてた気がする。

あの日の言葉にならなかった想いを、ようやく、言えた気がしたんや。

【今日のスコア】
2025年4月15日(火)@松山坊っちゃんスタジアム
阪神 5 − 1 ヤクルト

📘この記事は「TIGERS STORY BLOG」の投稿です。

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